「カヨ、気づいてるか」

「う、うん」


ことりちゃんを見送ってから少し経った頃、私とケンがいつもの通学路を通って帰ろうとしていた時、誰かに付けられてることに気がついた。

ケンが曲がり角を曲がる時、不自然にならないようにして背後を振り返って相手が誰なのかを確認してるけど、私は確認する気にもなれず、ただ手のひらに汗が滲んできただけ。


「いた、あいつだ。今朝のおっさんだ」


その言葉は私の想像していた人物を肯定することにもなって、ズシンと心臓が重くなったような気がして、お昼に食べたご飯が胃から逆流を始めたような感覚に陥った。


「ど、どうしたらいいの? このままじゃ、私あの人に殺される……!」


なんで助けてくれたり、殺そうとしたりするんだろうってずっと考えてた。さっきその疑問をケンに投げかけたら、ことりちゃんを送った後ケンに言われた言葉に私は身の毛がよだったままだ。


『確かなことは言えねーけど、もしかすると偏愛者とか。例えば元はストーカーだったとして、それがエスカレートして、殺して自分のものにしたい。だから自分の手で殺して、それ以外で死なれるのは……なんてのは考えすぎか』


最後にケンはそう言って冗談めかしたけれど、その意見は十分ありえるんじゃないかって思えて仕方がない。


自分の手で殺して……。