「でも、予知夢だったとしたら何度も同じ日を繰り返す夢を見るのは変だからな、タイムリープしてお前が同じ日を繰り返してると考える方がまだ自然だな」

「もし、タイムリープしてるとして、どうしてそんな事になってるんだろう? ってかどうやったらそんな事できるの?」

「そんなもん知らねーよ」


驚くほどにあっさりバッサリ切り捨てられてしまった。


「ちょっと、信じてくれるんじゃなかったの? 私は真剣に困ってるんだから!」

「しー! 声のボリューム下げろって。周りが見てるぞ」


ケンが肩を竦ませながら私をなだめた。その様子を見て私は思わず辺りを見渡した。

ケンの言う通り付近にいる人達が迷惑そうにこちらを見ている事に気がついて、私も肩を竦めた。


「とりあえずこの後にやってくる出来事を考えよう。事故に遭った事と、なんでそうなったのかってとこ。あと場所だな。それを回避したらいいんだろ?」

「簡単に言うけど、1度目の時は場所もなんでそうなったのかも覚えてないんだってば。ただ、自転車に乗っててトラックに轢かれた事と、そのトラックに乗ってた人が今朝会ったあのおじさんだったという事」


ケンが私の名前を叫んでたような記憶があるからきっと、ケンと一緒にいたのかもしれないな、とふと思ったけれど、その時の場所も状況も覚えてない。


「さっきも説明したけど、2度目はことりちゃんが足を怪我してたから私とケンで駅まで送ってって、そこで事故に遭った。でも2度目はことりちゃんが事故に遭ったし、その直前私は自転車にぶつかりそうになって、その時にあのおじさんが私の側にいて、自転車にぶつかりそうになってた私の体を押したの。そしたらそのまま歩道から道路に飛び出す形になって、また私がトラックに轢かれそうになったところで、今度は何故かことりちゃんが轢かれたの」


私はあの時の光景を思い出した。今も悪寒が走るほど目の前に広がる光景はとてもリアルなものだった。

ケンが私を助けて歩道に逃がしてくれたように、ことりちゃんもきっと、道路に出た私を助けようとして足を怪我していたにも関わらず飛び出したんだと思う。