「じゃあどこに行くんだよ」

「うーん、そうだな……」


特に思い当たる節はないけど、ベタにカラオケとか? けどケンはカラオケとか好きじゃないし、私も歌う気分じゃない。


「とりあえず靴、新しいの買いに行きたい」


足元に目を向けてそう言った。パカパカと口を開くローファー。試しにこのまま歩けるかチェックしてみたら、足を下ろす瞬間に靴底が折れて転びそうになってしまった。


「あぶね、だから言ったろ。その靴底全部剥がした方がいいって」

「そうは言っても、剥がすのなかなか難しい、ぎぎっ!」


靴を脱いで思いっきり靴底をめくろうとしたけど、結構硬い。こんなに頑丈にくっついてたのに、この半分だけこんな簡単にめくれるものなのかって疑問でしかないんだけど。


「貸してみろよ」


そう言いながらみかねたケンが私のローファーを奪い去った。ケンが勢いよくローファーと靴底を引き裂くとペロリと靴底は本体から離脱した。


「ほれ」


そう言って返された哀れな底のローファー。私はそれを履いてみると、片足だけ靴底がない分高さに若干の違和感はあるものの、これなら歩ける。そう思ってひとまずショッピングモールに向かうことにした。