毎朝ケンがうちを訪ねてくるから、お母さんはいつしかそう思うようになったけれど、ケンは毎朝うちに朝食食べに来てるだけで、私を学校に連れて行こうなんてこれっぽっちも思っていない。


「だってカヨ、俺がサボろうとしたらいつも俺をベッドから引きずり出そうとするだろ」

「それ子供の頃の話でしょ」


今なら間違いなく放っておくけど。なんというか子供の頃の私は正義感がとても強かった。サボろうとするケンを許さなかったし、それを見てケンママが褒めてくれるのがまた何より嬉しかったんだと思う。


「カヨが学校サボるなら俺は大手を振って休めるからな。そもそもお前がズル休みしたいなんて言うの初めてだろ」


貴重だ、とか言って一人でうんうん頷いている。こいつもこいつで訳がわかんない。


「んで、どーするよ。家に帰ったらカヨママいるだろ。俺ん家来てもいいけど」

「そしたら家で存分にゲーム出来るからでしょ。はい却下」


そもそもケンまでサボる必要は無いし、一人になりたい気持ちもある。でもなんか一人でいるのは怖いっていう気持ちもあって、ケンの申し出は断らない事にした。


だって、いつまたあの男に会うか分からないから。


どこかに潜んでて、どこからまた現れるのか。夢の内容からいうと、次にあの人に会う時は良い事が起きない……。