夢なんだし気にしなければ良いんだけど、でもやっぱり気味悪いというかなんというか。

朝のテレビとかでよく占いとか流れてるのと同じで、もし私の星座がランキング悪かった時ってやっぱり気分良くないし、どっか気にしちゃうというか……占いなんて信じないとか思いつつ、なぜか悪いことだけは頭に残って気にしてしまう、まさに今はそんな感じだ。


あと数十メートル進んだ先にある角を曲がると大通りにぶち当たる。そこには横断歩道があって、そこで私はむさ苦しそうな男の人に出会う。髪が長く、無精髭を生やし、四角く縁取られた眼鏡をかけ、少しゆとりを感じるほどの大きめの白いシャツを着た細身のおじさん。


でもそれは、夢の中での話。


「カヨ、マジで置いてくからな」

「あっ、待ってよ」


私は駆け出そうとした瞬間、足元に視線を落とした。

大丈夫、あれは夢だ。偶然夢の中で同じような夢を見たって思った不思議な夢。今日はあえてスニーカーじゃないし夢と同じになりようもないんだ。

そう思っていてもどうしても頭では考えてしまう。手のひらが妙に湿っぽい。高校受験の結果発表の時や、なぜか私が代表に選ばれて全校集会の時に全校生徒の前で朝礼の内容を読み上げた時でも全く動じなかったはずなのに、今は妙に緊張していた。

心臓が高まる中、私は角を曲がって大通りに出たその時だった。


「カヨ? どうした、なんか顔色悪いぞ?」


足を止めた私に気がついたケンが、私の顔を覗き込むようにして目を凝らした。だけど私にはそんなケンの様子も、ケンの言葉も耳には届かない。