「ちょっとケン、なに人の朝食食べてんのよ!」

「……なんでお前のだって知ってんだよ」


確かに。なんで私のだって思ったんだろう。ケンのためにお母さんが作ったとしてもおかしくないのに。

夢の中でケンが私の朝食を食べてたからそれがダブって見えたせいかもしれない。って、当たってるところがまた苛立ちを増幅させるんだけど。


「ってか、これお前のじゃなくて俺のだけどな」

「はぁー? どういう事よ。ってかそもそも朝食くらい家で食べてくればいいじゃん」

「自分でトースト焼いたりするの面倒くせーだろ」

「それくらいしなさいよ!」

「お前はそれくらいもしてねーだろ。カヨママが用意してくれるのを食べてるだけのくせして」


うぐっ、確かにそうだけど……。


「しかもカヨママのご飯はうまいし」

「まぁ、ケンちゃん嬉しい事言ってくれるわね。これからもカヨのごはんはケンちゃんにあげようかしら」


でた、お母さんのケン贔屓。昔からずっと思ってたけど、お母さんは多分男の子が欲しかったんだと思う。それくらい実の娘とケンに対する態度が違う。


「ってかほら、やっぱりそれ私の朝食だったんじゃん」


私が不平不満をこぼしたら、今度はお母さんがケンの肩を持ち出した。


「カヨが食べないからでしょ。今日も起きるの遅かったし、遅刻するから早く行きなさい」

「お母さん、あなたの娘がグレたって知らないからね」


むしろ今までよくグレなかったものだ。私は人間ができてるからグレなかっただけで普通ならそうなったっておかしくないと思う。そんな風に自分を褒めつつ、鼻息荒くして私はリビングを出た。


「行ってきます!」