「えっ、何? ストーカーっていうかカヨちゃんのファンって感じで言いたかっただけだし、本気にしないでよー。冗談だよー」
 

ケンがあまりに真剣な表情をしたからか、ことりちゃんはケンに向かって慌てて弁解の言葉を付け足した。だけどーー。


「大丈夫、分かってるって。カヨのストーカーとか、むしろ物好きすぎてそいつのメンタルの方が俺は心配になる」

「なに真剣な顔でさらっと失礼な事言ってんのよ」


騙された。私も一瞬不安になっちゃったじゃん。


「で、そのおじさんはどこにいるの?」


ことりちゃんは私の背後を確認するように、あたりをキョロキョロと見渡した。


「今はもういないよ。単に偶然だっただけなのか、もしくは私が露骨にそのおじさんを見てたから気まずかったのか知らないけど、さっきあの角曲がって行っちゃったからね」

「そうなんだー」

「けど、気をつけるに越したことはないかもな。俺ちょっと見て来るから二人はそこにいて」

「えっ、ケンちょっとーー」


私が引き止める間も無く、ケンは駆けて行ってしまった。


「大久保くんって意外と心配性なんだね。優しいなぁー」


だね、なんてことりちゃんには相槌を打ったけど、あの様子だとケンはかなりあのおじさんの事をを疑ってると思う。なんでって聞かれると困るからことりちゃんには言わなかったけど、これは幼馴染の腐れ縁による勘だ。

それにケンみたいな省エネ男子がわざわざ確認に行くなんて相当疑ってるに決まってる。