「そういえばカヨちゃん、その靴どうしたの?」


緩んできた靴紐を縛り直していた時、ことりちゃんは本物の小鳥のように首を小さく傾げながら私の足元に視線を落としている。


「今朝靴紐が切れちゃって。マンガみたいでしょ?」


私は思わず苦虫を噛み潰した。あははっ、なんてから笑いしながらも、内心では不吉なイメージが再び私の脳内を支配し始めていた。


「すごいねー、靴紐が切れたなんて実際初めて聞いたよ。切り口見せてー」

「えっ、うん、いいけど……」


ことりちゃんが意外と関心を寄せてくるのが意外だった。物珍しい気持ちはわかるけど、興味津々に大きな瞳を宝石のようにキラキラと輝かせている。そんなことりちゃんに押されるように、私は一度靴の中に入れた靴紐の先を取り出した。


「わー、プッツリいったねー! なんか引きちぎられたみたいな切れ方してるー」

「そんなに感動しなくても……縁起悪くない?」

「えー、むしろ逆にラッキーなんじゃない? だってこんな切れ方するのとか見た事ないよー?」

「確かにそうだけど」


ことりちゃんの発想に私は目玉飛び出すかと思った。いや、本当に。

だって夢に続いてこれだもん。しかもこれだって悪夢の内容と同じ出来事な訳だし、縁起悪いって思っても仕方ないと思ってた分、ことりちゃんの発想には少し救われた気がした。

もちろんことりちゃんに夢の話はしてないし、靴紐の事だけ考えたらそう思うこともあるかもしれないけど。