「あたしにも大久保くんみたいな幼馴染いたら良かったのになぁ」

「そんなに欲しけりゃあげるよ」


ことりちゃんってば、なんて趣味の悪い。私はケンと兄弟のような関係で、子供の頃から一緒にいるのが当たり前だからあれだけど、もし選べるのならケンよりアイドルみたいな人を選ぶと思う。


「あはっ、そんなこと言ったら大久保くんまた怒っちゃうよ」

「大丈夫、大丈夫。あいつもいい加減私に愛想尽かしてるからことりちゃんみたいな可愛い幼馴染いたらテンション上がっちゃうだろうね」

「そんなことないよ。きっと大久保くんはカヨちゃんと幼馴染でいることを選ぶと思うよ」

「そんなことないと思うけどなぁ」


もしも、私がケンと幼馴染じゃなかったら。もしも、私とケンの家がお隣さんじゃなかったら。もしも、私達の両親がこんなに仲良くなかったら。もしも、私とケンの共通点である誕生日とか生まれた病院とかが同じじゃなかったら。

今のように私とケンは一緒にいないのだろうか。


偶然が重なって私達がここにいる。たくさんの共通点を持ってここにいる。私は単純な性格だから、目に見えるものしか信じない。だけど今日はなぜかそんなことをふと思った。

きっと今朝の夢の事、デジャヴが重なって起きたせいだと思う。