「それって、デジャヴなんじゃないかしら? 初めて来る場所のはずなのにこの景色見たことあるとか、こんな会話初めてするはずなのに前にもした事があるとか、そういうの」

「そうだ、それです!」


ずっと引っかかっていた事。そうだ、デジャヴだ。今朝ケンとした会話も初めてなのにそんな気がしなかった。


「そもそもデジャヴってなんなんでしょうか。なんで実際に見た事も起きた事もない事を知ってると感じるんでしょうか?」


ずっと感じていた違和感。夢で見た事がある出来事と同じ事が起こっていた。それって私は予知夢を見ていたって事なのかな? それとも正夢って事?

でも正夢や予知夢よりもデジャヴと言われる方がなんだかしっくりくる。なんでかは分かんないけど。


「人間は寝ている間に魂が離れて別の世界に繋がる、その時に経験した事が後から現実に起こって二度同じ体験をする……それがデジャヴだって聞いた事があるけれど」


私普段なら、そういうのあんまり信じないけど、今は先生の説明がとても腑に落ちる。でも、そうだとしたら私はこのままだと死ぬって事……?

トラックにぶつかったあの瞬間、を思い出して私は思わず体が震えた。


「でもそんなに深く気にする事はないわ。夢って心と体のバランスを整えるために見るものだしね」

「先生は信じるんですか? もし夢と同じ事が起きたり、夢で体験した事がもう一度体験するっていうデジャヴの考え方を」


先生は、んー? と一瞬天井を仰いだ後、腕を組んでこう答えた。


「そう捉えた方が面白いならね」

「じゃあその夢が死……悪い夢だったら?」

「それなら家に帰って何もしないでじっとしておくかしら」


あははと笑いながら先生はそう言って席を立った。