「あっはっはっはっ!」

「ちょっと、笑い過ぎだし」


膝の痛みに苦しみながらも懸命に着替えを済ませて教室戻って来たというのに、心配の言葉をかけるどころか笑うとか失礼だと思うんだけど。

しかもケンが豪快に笑うものだからクラスのみんなが私達に注目しはじめた。普段は大人しいクセにツボに入るとこれだ。


「いや、その顔見て笑うなって方が無理だろ」


私は思わず顎を両手で覆った。


「最低。可哀想だと思わないわけ?」

「カヨ、むしろ美人になったんじゃね?」

「ハンっ! 元々ケンよりはハイスペックな顔の持ち主だし」

「自分で言ってて虚しくならね?」

「うっさい。誰のせいだ」


普段物静かな癖に、こういう時は本当に口が達者だ。


「カヨちゃーん、足どうだった? 大丈夫?」


教室を離れてたことりちゃんが戻ってきたと思ったら私を見つけて席まで小走りでやってきた。


「まだジンジン痛むけど一応大丈夫。歩けるし」

「歩けなかったらそれ、即刻病院行きだろ」


ボソリとツッコミを入れてきたケンのセリフは聞こえないフリをして、私は制服のスカートの裾をめくってことりちゃんに膝の包帯を見せた。