私はゆっくりと目を覚ました。


「変な夢見たな……」


そんな風に思わず呟いてしまうほど、奇妙な夢だった。

そもそも私が夢見た内容を覚えてる事の方が珍しいんだけど。


「どんな夢だったんだ?」


そう言って部屋の扉からひょっこりと顔を覗かせたのは、隣の家に住むハル。


「ちょっ、ノックもなしで勝手に入ってこないでくれる?」

「よく言うよな。扉なんて開けっ放しだったじゃねーかよ」


あれ、そうなの。ああ、そうかも。昨日は疲れて即ベッドにダイブしたから。


「んで、どんな夢見たって言うんだ?」


ハルはそう言いながらズカズカと部屋に入って来て、ちゃっかり椅子に腰をかけた。


「なんかちゃんとは覚えてないんだけどさ、何度も同じ日をやり直す夢」

「なんだそれ」

「ハル、あんたもいたよ。私の幼馴染でさ、私が何度も死ぬからハルが助けようとしてタイムリープしてた」


私が記憶を探りながらそう話すと、ハルは肩を揺らして笑った。


「何度も死ぬってなんだよそれ。カオは運動音痴で鈍臭いからな」

「失礼な奴だな!」


私はハルに向けて枕を投げつけた。ハルはそれを簡単にキャッチして、それでもまだ笑っている。