「ケン、今幾つになったの?」


私はケンの横顔を見ながら、今のケンの年齢を想像した。私の見る目はなかなか良くないって自他共に認めてる。だからよく分かんないけど、30代とも取れるし、40代だと言われたらそうなんだって納得してしまうかも。でも実際は20代だったりして……。


「さぁ? 年齢なんかいつから数えてないか……そんなもんとっくに忘れちまったよ」

「何その女子みたいな回答。年齢忘れるとかあるの?」


それとも隠してるとか? ケンも大人になってティーンエイジャーな私を前に、老いを隠したくなったとか。


「俺はお前が亡くなったこの日からずっと時が止まったままなんだよ」


私の方に見向きもせずそう言ったケン。でもすぐに「なんてな」なんてちょっと笑いながらそう言ったけど、ケンは私の知らない大人になったんだと感じた。

年齢が幾つかどうか、見た目が変わったとかそういうの抜きにして、ケンは本心を隠すためにごまかし笑いができる大人になったんだ。私の知るケンはいつもぶっきらぼうで、本当に楽しい時か、私を陥れようとして悪巧みしている時くらいにしか笑う姿を見せない。

大人になるって良いことなのか、悪いことなのか。私には分からなくなった。


だけどそれはきっと、この先も分かることはないんだと私は思いながら、前を向いた。