いつもの住宅街の通りを抜けて、私は景色を楽しむようにしていつも以上に辺りを見渡した。
いつもと変わらないなんてことない通学路。道路の脇に咲いた小さな花や雑草、そういうものにすら新鮮味を感じるほど、普段なら見落としていた景色を堪能しながら、私はあの横断歩道までやって来た。
道を曲がって横断歩道が目の前に広がった瞬間、反対側の歩道にいるはずのケンがこちら側の歩道で明らかに私を待っていた。
「カヨ……」
「ケン、話があるの」
私はケンが何を言おうとしているのか聞こうともせず、そう言った。ケンはどこか私の言おうとしている事を想定していたかのように、一度目を伏せてから、再び私に向き合った。
「分かった。ここじゃなんだからとりあえず俺の家で話を聞こう」
「それなら、私今はケンの家の鍵持ってないから、先に私の家に帰らせて」
さっきケンが学校に行くと言ってくれたからちょうど良い。そう思って未来のケンの申し出を受け入れた。
「いや、鍵なら俺も持ってる。だからその必要はない」
そう言ってケンは私の隣に立って、私が今来た道を戻るように促した。私が歩き出すまで、ケンは動かない。まるでガーディアンのようにケンは私の周りに存在するものを警戒しているのが手に取るように分かってちょっと笑いそうになってしまった。
「何がおかしいんだ?」
「いや昔、小学校の通学路でさ近くでよく吠える犬を飼ってる家があったじゃん? たまに首輪外れてたりしてあの犬外に出てることがあったから私がビビって通れなかった時、こうやってケンが警戒して守ってくれてたなーってのをフと思い出しちゃった」
「あー、そんなこともあったな。遠い昔すぎて言われるまで忘れてた」
そうだよね。今私の隣にいるケンは未来から来たケンで、私よりももっと先の人生までも歩んで来たんだ。だから私が懐かしいと思ったことも、このケンからすれば遠い遠い昔になるのかもしれない。
いつもと変わらないなんてことない通学路。道路の脇に咲いた小さな花や雑草、そういうものにすら新鮮味を感じるほど、普段なら見落としていた景色を堪能しながら、私はあの横断歩道までやって来た。
道を曲がって横断歩道が目の前に広がった瞬間、反対側の歩道にいるはずのケンがこちら側の歩道で明らかに私を待っていた。
「カヨ……」
「ケン、話があるの」
私はケンが何を言おうとしているのか聞こうともせず、そう言った。ケンはどこか私の言おうとしている事を想定していたかのように、一度目を伏せてから、再び私に向き合った。
「分かった。ここじゃなんだからとりあえず俺の家で話を聞こう」
「それなら、私今はケンの家の鍵持ってないから、先に私の家に帰らせて」
さっきケンが学校に行くと言ってくれたからちょうど良い。そう思って未来のケンの申し出を受け入れた。
「いや、鍵なら俺も持ってる。だからその必要はない」
そう言ってケンは私の隣に立って、私が今来た道を戻るように促した。私が歩き出すまで、ケンは動かない。まるでガーディアンのようにケンは私の周りに存在するものを警戒しているのが手に取るように分かってちょっと笑いそうになってしまった。
「何がおかしいんだ?」
「いや昔、小学校の通学路でさ近くでよく吠える犬を飼ってる家があったじゃん? たまに首輪外れてたりしてあの犬外に出てることがあったから私がビビって通れなかった時、こうやってケンが警戒して守ってくれてたなーってのをフと思い出しちゃった」
「あー、そんなこともあったな。遠い昔すぎて言われるまで忘れてた」
そうだよね。今私の隣にいるケンは未来から来たケンで、私よりももっと先の人生までも歩んで来たんだ。だから私が懐かしいと思ったことも、このケンからすれば遠い遠い昔になるのかもしれない。