「カヨ、信号変わったぞ」

「あっ、うん」


顔を上げると、信号が青に変わっていた。私はケンに続いて歩き出した。


「お前、普段俺に歩きスマホすんなとか言ってなかったっけ?」

「今ことりちゃんに短いメッセージ返してるだけだし。ってかあんたの場合は動画見てるでしょ。私は一瞬なんだから一緒にしないでよ」


そう言い切ってる間に私はメッセージを送りきった。顔を上げてスマホをポケットに閉まってる間に、ケンはさっさと横断歩道を渡りきった。


なんで男子っていつも女子より歩くのが早いんだろう。


中学くらいからケンとの歩幅が合わないし、歩くスピードも合わない。身長差がある分、足のリーチがあるのはわかるけど、身長が同じくらいの男子とでも歩くスピードが合わないと思ったことが何度もあるからいつも不思議に思ってた。

私がケンとの距離を縮めようと駆け足になったその瞬間だった。


ーーブチッ、という音が耳に聞こえるほど足元に衝撃が走って、その勢いに飲まれるようにして私は前のめりに転んだ。


「いたっ……」


コンクリートの地面が私の膝と顎を強打した時、一瞬何が起きたのかわからず、転んだ原因の足元に目を向けた。するとーー。