「カヨ、何か書く物持ってるか? 念のために俺の連絡先教えとくから」

「あ、うん、リュックの中にノートとペンがあるよ、ちょっと待って」


私はそう言いながら背負っていたリュックの中身を確認して、ペンとノートの切れ端を未来のケンに渡した。


「俺の携帯番号だからSNSでメッセージ送るなり、電話するなり、何かあった時は連絡してくれ。一応お前にも」


そう言いながら電話番号の書かれたノートの切れ端を私と現在のケンに渡した。


「ってか、電話とか持ってるんだね? それって未来の?」


すごく素朴な疑問なんだけど。そもそも未来のスマホってどんなの?


「いや、こっちで買った。だからプリペイドだけどな」


そう言ってポケットからスマホを取り出した。それは見たこともないような機種で、よくご年配の方が持ってるような印象のものだった。


「じゃあお前がカヨを家まで送るんだったら、俺はまだやることがあるからここからは別行動だ。何かあれば連絡する」

「分かった」


未来のケンはそう言って辺りを見渡してから駆け出した。公園を出る直前に、一度振り返って私に向かってこう言った。


「カヨ、絶対家から出るなよ! せめて夜になるまでな!」

「分かったよ!」


過保護なほど念を押され、私は未来のケンは今隣にいるケンと本当に同じなんだなって実感していた。

ケンもぶっきらぼうなくせして、何かあった時はとても過保護だから。それは大人になっても変わらないんだなって思った。