「前回お前らが俺にしたのと同じ手だよ。空き巣に入られる時間帯に合わせて警察に不審者情報を流して巡回と警備を依頼する。あと、カヨママには俺が連絡を入れて忘れ物もしないよう、買い物もなるべく長くなるように仕向ける」

「それで、上手くいったんだよね……?」

「ああ、前回もその前も上手くいった。だから安心しろって」


未来のケンはまっすぐ私を見つめて、頷いた。ケンのその目には嘘偽りが一切写っていないのを確認して、私は初めて肩に力が入っていた事を知って、それを解放した。


「カヨママが亡くなった時、俺はもう一度タイムリープする事を決めた。そしてカヨが言う1回目、実際俺は3回目になるタイムリープをしたんだ」

「トラックの時のことだよね」


未来のケンは再びゆっくりと首を縦に振った。


「オリジナルで言うならば、カヨはトラックに轢かれて死んだ。だから俺はそのトラックの運送業に入り込んで、ドライブコースを変える選択を選んだ。けど、結局俺はお前とかち合った上、いざって時にブレーキが効かなくて……俺はお前を轢く結果になった」


未来のケンは息苦しいといったような苦々しげな表情を浮かべたまま、空を仰いだ。


「あれは、本当に最悪だった」


未来のケンは私を助ける為にこの時代のこの日にやって来たって言った。それなのに、幼馴染の私を自分の手で殺す事になるなんて、その時の気持ちがどんなものだったのかなんて、想像するのはなかなか容易ではないと思った。

あのトラックで運転していた未来のケンは恐怖の色をその顔に滲ませていた。それはそういう事だったんだ……。