「お母さんが……? なんで……」


未来のケンは目尻にできた深いシワをさらに深く刻んで、目を伏せた。


「空き巣だ。カヨママが買い物に出かけた後、空き巣に入られた。けど、その後すぐにカヨママは忘れ物をした事に気がついてすぐに家に戻った。そして泥棒と対面してしまったんだ……慌てた泥棒がカヨママをナイフで刺して、逃走した……」


ぞくっとした悪寒が背筋を走った。足元から脳天にかけて一瞬で駆け抜けた寒気が、私の体温を奪い去ったように思えて、私は自分の体を抱きかかえるようにして震える体を抑えつけた。


「お、お母さん……知らせなきゃ……!」


今すぐ家に戻って、お母さんにこの事を知らせなくちゃ。今ならまだ間に合う!

私が慌てて駆け出そうとした時、未来のケンが私の腕を掴んだ。


「安心しろ。俺が手を打って前回は食い止めた。だから今回もそうするつもりだ」

「どっ、どうやって食い止めるつもりなの?」


上手くろれつが回らない。頭の中はパニックによって何も考えられなくなっていた。