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「皆さん、ご入学おめでとうございます。本校は――……」


広い体育館の中に並ぶ保護者と新入生。

入学式といえばどこの学校にも存在する校長先生のの長い話。

それと,生徒代表の言葉だ。

正直言えばめんどくさいのが事実。

サボれるもんならサボりたいぐらいだ。



「――……以上で話を終わります」


起立、礼。とかかる号令に、何百人もの同級生たちがAIロボットのように動く。

着席、と指示がかかり、俺はため息をつきながら腰を下ろした。



『新入生代表の言葉』



新入生代表の言葉なんてまだ学年の奴等の名前さえ覚えていないのだから誰がやろうと興味がない。




『吉川、春奈』


そう。

彼女の名前を聞くまでは。



「はい」



俺は思わず目を見開いた。

新入生代表の言葉は主席で入学した人がやるということだから、高橋さんは入試で抜群の成績を残したということだ。


この名門校で1番をとることはそう簡単なことではないのに……。


さっきまで近くに感じていた彼女が突然遠い存在に感じてしまった。