あの日――――……。
吉川さんの瞳を見た俺は、走り去っていく彼女の腕を掴むことはできなかった。
賑やかな店内に響く笑い声とBGMは、まるで嫌味のようにも聞こえた。
陶器のように綺麗な肌を滑り通った涙。
震える唇を押さるように噛みしめていた。
彼女をそうさせてのは、紛れもなく俺だ。
彼女がいなくなってしばらくして「高橋……?」という声に、ハッと我に返った。
俺を呼ぶ声を無視して、慌てて彼女を追いかけた。
しかし、休日でごった返す街中から彼女を見つけ出すのは、無理に等しかった。
……彼女に会わなくなって三ヵ月。
彼女は、どうしていただろうか――――。