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「勝浦(かつうら)いちこ。お前、今日もまた遅刻だったらしいな。いい加減、気を引き締めたらどうだ」
私は小さい頃から朝が苦手だ。
ふかふかの布団が大好きで、一度寝てしまうと地震が起きても目覚めない。
おかげで高校二年生になった今でも朝は母のお世話になっている。
そんな自分を情けなく思う反面、目覚ましを三つ置いても起きられない現状に、半ば諦めの気持ちもある。
「明日こそ早起きできるように、帰りに四つめの目覚ましを買って帰ります」
日直の当番日誌を担任の山瀬(やませ)先生に手渡しながら、ごまかすように小さく笑った。
すると、熊のように大きな身体をした先生に、「お前なぁ」と呆れ交じりのため息を返される。
今日は、大好きな漫画の新刊の発売日だ。
本屋に寄って新刊をゲットしたら、制服のままベッドの上に寝転んで幸せな時間に浸ろうと、もう三日も前から決めていた。
だから、先生からのお説教は手短に済ませてもらって、一刻も早く帰りたい。