「イチコー! 早くしないと遅刻するわよ!!」

「ん……」


ぼんやりとまぶたを開けると、朝日が私の目元を優しく照らした。

顔の横にはいつ止めたのか、目覚まし時計が転がっている。


「もうっ、いい加減にしてよね! 高校二年生にもなって親に起こしてもらうなんて、イチコ以外にいないわよ!」

「うぅー……わかった、わかったから……。もう起きた。起きたから、あと五分だけ寝かせて」

「いい加減にしなさいっ!」


ピシャリと言われて布団まで剥ぎとられ、私はとうとう観念して上半身を起こした。

まだぼんやりしたままの頭の片隅には、夢で見た景色が焼き付いている。