「掘り起こしたはいいけど、開かなかったら意味ないだろ! だから、そのために開くかどうかを、確認しただけだから!」


必死に弁解するロクが面白くて、小さく噴き出した。


「あはは、冗談だよ。確か手紙は、それぞれノリ付けで封筒の口を閉じてたし。それ言い出したの私だから覚えてるけど、仮に開けられてたらすぐにわかるから、大丈夫」


タイムカプセルの前にしゃがみ込みながらロクを見上げて答えると、ロクはあからさまに安心したように息を吐いた。


「……なんだ。だったら、最初から疑ってるみたいなこと言うなよな。俺は本当に、蓋が開くかどうかを確認しただけだから」


脱力したように言ったロクも、その場にしゃがみ込む。


「じゃあ、ロクもまだ、自分が書いた手紙とか確認してないの?」


私が尋ねると、ロクは一瞬答えに詰まってから「……うん」と小さくうなずいた。

十年ぶりに対面した、タイムカプセル。

中には当時のそれぞれの宝物と、十年後の自分に宛てた手紙が入っている。

十年前の自分は、どんな手紙を書いたのだろう。

手紙と一緒に入れた宝物は、きちんと形を残しているのだろうか。