「でも……ロクはもっと、落ち着きがなくて、ぶっきらぼうな感じで……」
「な、何年前の話だよ。俺たち、もう高校生だぞ? そんなの、変わるに決まってるだろ」
なかなか信じられないでいると、呆れ交じりの笑顔とともに一蹴された。
言われてみれば、そのとおりだ。
当時のロクは、七歳の男の子。まだ声変わりもしていない、ちんちくりんの小学生だった。
かたや、今、目の前にいるロクは私と同じ、十七歳の高校二年生だ。
声変わりもとっくに済んでいるし、当時は私と変わらなかった身長も伸び、身体つきも男の子らしく成長している。
「だけど……ロクって……。あなたが、ホントに、あのロク?」
けれど、頭ではわかっていても疑問は消えてくれなかった。
だって、あの頃のロクは、団地内でも有名なヤンチャ坊主だったのだ。
たった十年で、ここまで落ち着いた雰囲気の青年に成長するだろうか。