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「……ハァ、最悪。売り切れとか、最初から予約しておくべきだったなぁ」


最寄りの本屋さんを出て、帰路についた私の足取りは重い。

お説教を勝手に切り上げてきたバチが当たったのか、お目当ての漫画の新刊は既に売り切れてしまっていた。

手に取るためには取り寄せするしか方法はなく、少なくとも三日はかかるということだ。

本当なら今頃は、浮かれながら帰宅しているはずだった。

お菓子まで買い込んで、思い切り漫画を楽しむ予定だったのに最悪だ。


「ハァ……」


やっぱり、こんな日に日直だったのがいけなかった。

ツイてない日は、嫌なことが続くものだ。


「楽しみにしてたのにぃ〜」


ぼんやりと宙を見上げてボヤけば、心には憂鬱の塊が落ちてきた。

……仕方がない。
うっかりSNSで漫画のネタバレを見ても嫌だし、今日はもう家に帰って大人しくしていよう。

さっさと寝て、せめて明日は遅刻しないように気をつけるべきかもしれない。

楽しみにしていた漫画も手に入らなかった上、明日も朝から山瀬先生に捕まってお説教されるなんて、それこそ最悪だ。

バカみたいなことを真剣に考えながら、私は自宅のある花ヶ咲団地の敷地内へと足を踏み入れた。