「ねえ、本当に大丈夫?」

「平気平気!先生達は皆、警備で忙しいからバレないさ」



ここは人が滅多に来ることのない、5階の社会共通室。他の教室よりも少し広いけれど、滅多に使われる機会がない。


まして文化祭の今日は、立ち入り禁止となってる5階だから、人がいるはずもないのだ。


そんなところに私達がいる理由は一つ。日向君が、職員室から鍵をこっそり持ってきたから。



窓を開けると涼しい風が入り、淡い緑のカーテンをふわっと踊らせた。グラウンドでは野球部の招待試合が行われていて、歓声がここにまで届くほど。