あ……また、だ。


休み時間の賑わう廊下。


五回にある音楽室へ向かうため、東側の階段へ行こうと友達と歩いていた。

その反対側から歩いてくる一人の人物と瞳が合う。


ドクン、ドクン、と少し早くなる鼓動。そんな心臓を落ち着かせるために、隣にを歩く莉奈にバレないよう、小さく深呼吸をした。


一年の秋ぐらいからだろうか。

彼と、瞳(め)が合うようになったのは。


それはまるで、魔法にかかったかのように、彼の瞳から視線を逸らすことができなくなるから不思議だ。