「そういうことだ。美空にもついに春が来たか~」

「え、ちが・・・」


私の手からタオルを奪って、頭に乗せたかと思うと髪の毛をワシャワシャとしだした莉奈に、先ほどの出来事を思い出す。


タオルから香る彼の香りが私の心臓をまた、高鳴らせた。



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そしてついに文化祭がやってきた。



「相川さん、大丈夫?」

「だだだいじょうぶ」



約束通り私達は5人で文化祭を回っていた。が、お化け屋敷に入る事になるジャンケンをした結果。


私と日向君がペアになってしまったのだ。


「所詮高校の文化祭のお化け屋敷だからさ。楽しんでいこーぜ」

「そ、そうだね」



お化けがただでさえ苦手なのに、どうして日向君とお化け屋敷なんかに・・・!


ああ、怖さと緊張とが混じり合ってなんか変な汗かいてきた。


係の人から懐中電灯を受け取るが、黒いテープで巻かれ光がまったくでていない。


だがしかし、日向君はもう教室内に一歩踏み入れている。



「ほら、大丈夫だって」

「う、うん」


優しく手招きする彼に従って、私も暗闇へと足を踏み入れた。