はにかみ笑顔の彼に思わず言葉が詰まる。そんな私を見て日向君は何を思ったのか。



「あ、別に変な意味はないからね!?」



慌てて弁解する彼が面白くて思わず笑ってしまった。


「私も、日向君が挨拶してくれて嬉しかったよ」

「っ」

「ふふっ。ありがとう」



彼は濡れた髪を触りながら、目を逸らして「おう」って少しぶっきらぼうに言うからまた不安になる。


やっぱり少し怒ってる・・・?



「今のは反則」

「え?」



駐輪場の屋根を打つ強い雨音のせいで彼の声がかき消されてしまった。



「なんでもねぇ!ほら、行こーぜ!」



そう言うと私が手に持っていた彼のタオルを奪い、私の髪の毛にわしゃわしゃっとそれ乗せてきた日向君。



「わっ、」



見上げればいつもの無邪気な彼に戻っていて、タオルで拭く手を止めると彼はニヒッと笑った。



「さて、一緒に怒られますか」