「え、」



雨で塗れた髪の毛をわしゃわしゃと整える日向君は、驚いた表情でこちらを振り返った。



「あ、っと・・・」

「相川さんじゃん!おはよっ!」


おはよっ。おはよっ。おはよっ・・・。


頭の中でリピートされ続ける日向君の言葉。


挨拶、してくれた・・・。そのことで頭がいっぱいになり返すのをすっかり忘れていた。



「今日雨やばいな!」

「あ、うん・・・!びしょびしょ」

「相川さんめちゃ濡れてんじゃん!」

「タオル忘れちゃって・・・へへ」



すると彼はちょっと待って、と言って鞄をあさりだした。


そして。



「わっ、」

「これ使って」


頭の上に乗せられたそれ。触ってみるとふんわりと柔らかい感触が。とってみるとそれはどうやらタオルのようだ。


「え、でも日向君が・・・」

「俺は髪短いし、部活のあるから!今風邪引いたら文化祭あるし大変だろ?」