こちらに気がついているのかは分からない。思わず足が止まってしまう。



「おい!大地急げ!」



友達が彼を急かす。私も急がなければいけないのに、日向君のいる所を通らなければ下駄箱には行けない。


挨拶、したほうがいいかな。


でもなんか気まずいんだよね。昨日のファミレスでも私達が二人で話したのはあれっきり。あとはメールしかしてないし。


それに一人で話しかけるとか今の私にそんな勇気はない。ただでさえ、この前話しかけに行ってあんな緊張してたのに。



でも“おはよう”ってたった四文字ぐらい、言いたいな・・・。



そこでハッと気がつく。そんなに迷ってる暇はない。なぜなら残り2分しかないのだ。



可笑しくないよね・・・?

別に変に勘違いとかされないよね・・・?


さりげな~く、が大事だ。さりげなく。さりげなく・・・。


「っ、ひ、日向君・・・!」



ああ・・・やっちゃった・・・。


さり気無く挨拶するつもりが、噛んでしまった。