そう言って席に戻っていく平松君の背中がどこか小さく見えたのは気のせいだろうか。


賑やかなはずのファミレス。けれど私と日向君のいるここだけは、別の空間のように感じた。



「平松君って、莉奈のこと本当に好きなんだね」

「・・・・・・あぁ」



やっとのことで絞り出した会話は、日向君のたった1.5文字の言葉によって終了。


先ほどまでのおちゃらけた彼のキャラはどこへやら。少しおちゃらけてくれると私としてはとても助かるんだけど・・・。


私も先に戻ってしまおうか。


そう思い彼の横を通り過ぎようとすると。



「平松さ、」



その声に、足をピタリと止める。



「中野のことを思って、自分が嫌でも我慢するなんてすげーよな」

「・・・そうだね」

「俺だったら、ぜってぇ無理だ」



文化祭を彼女と二人で回れないことが、かな?


しかし彼にとっては、その言葉は少し違う意味を帯びていた事に気づくことができず、私はただ頷いた。


「相川さん、先戻ってて!」



ハッと彼のほうを向けば、いつもの笑顔を振りまけていた。



「あ、うん」



その意味が分かるのは、まだまだ先のこと―――――。