莉奈が指差す方向に視線を送ると。


そこには友達と楽しそうに笑う日向君の姿が。



「あちゃー・・・人多すぎだね。これじゃ呼び出すと注目浴びちゃうよ」



そりゃそうだ。今は昼休み。むしろ人気者の彼の周りに人がいないほうが珍しいだろう。


諦めるかな、と思った矢先。



「あ、立ち上がった!」

「え・・・!?」



友達に囲まれていた彼だが、一人立ち上がり、黒板のほうに歩き出したかと思うと、ドアの方に向かってくる。


「ほら、美空!」


トンッと軽く背中を押される。莉奈を見ると大丈夫、とでも言いたげに頷いた。


ちょうどその時、昼休み終了5分前のチャイムが鳴り響いた。


次の時間の教科書をロッカーに取りに来る生徒達の賑やかな声が廊下に響く。


今なら注目を浴びる事もないだろう。そう思い意を決して扉を開けた。



「っ、あ、あの日向君・・・・・・っ!」