「しょーがねーから俺が手をつないでやるよ」
「えー大地君と手を繋ぐとか照れちゃう」
「お前らはホモか」
「「全力でやめろ!」」
暖かい笑いがその場に広がる。変わらない笑顔が、私達の門出を彩る。
「しょうがないな~健人!あたしと美空の間に入りなよ」
「ほら、葉月君。手」
「二人がどーしてもって言うなら繋いでやるよ」
「なんですってぇ?じゃああんた一人で正門くぐりなさいよ」
「わ~!嘘嘘!繋がせて下さい!!」
あははっ、って。
馬鹿だー、って。
“高校生の私達”とは、お別れ。
もう二度と戻ることはできないけれど。
もう二度と戻ることができないからこそ。
高校3年間という長くて短い時間は、愛しい日々となる。