「美空~早く早く!」


正門の前で大きく手を振っているのは莉奈だ。

大地と二人、手を繋いで走り出す。


「やーっとくっついたか!」

「おせぇんだよお前達は」

「美空、ごめんね。あたし二人が両想いって知ってたの。だけどそれじゃあ二人のためにならないと思って言わなかったの・・・」


そうだったんだ・・・。

だから莉奈はバレンタインのチョコ渡せ、とか言ってたんだ。



「もう、いいよ莉奈。ありがとう」

「久しぶりの5人だな」

「1年ぶり?」

「誰のせいだよ」

「皆のせいだろ」




春風が頬を撫でる。

この学校には、生徒はもういない。私達だけだ。