好きだったんだよ、と言おうとした刹那、私は大好きな人の腕の中にいた。



「ごめん」

「ひ、なたく・・・ん?」



名前を呼べば、更に抱きしめる力が強くなった。


終わりを迎えたと思っていた恋が、鮮やかに甦り私を満たしてゆく。征服してゆく。



「美空」



私の名前を呼ぶ声に



「ずっと、好きだった」



私だけに向けられた感情に



「―――っ、」




涙が頬を伝う。



「私も、大地の事がずっと好きだった―――」



交わることの無い二つが、交わった瞬間だった。