日向大地side





琴美の隣にいる俺は、自分がまるで赤の他人のような気持ち悪い感覚を覚えていた。


『ごめん、琴美・・・。俺、やっぱり無理だ。お前の事好きにはなれない』


そう言って琴美とは別れた。我ながら最低な奴だと思う。


『最初から、大地先輩は私の事なんて好きじゃなかった。そんなの知ったうえで、付き合ってくださいってお願いしたんです。だから、謝らないで下さい』



そう笑う琴美の作り笑いを、俺は何度見てきただろう。


知らないふりをして、避けてきていた琴美を傷つけ、また傷つける。


琴美に告白されて、葉月と両想いな二人を見るのが辛くて、付き合うなんて選択をした最低な俺。


俺にとって、何よりも大事なサッカーで、夢だった全国の舞台に立てた。ずっと夢だったプロのチームにも入れた。それなのに、どうしてこんなにも悲しいんだろうか。