用を済ませ、階段を上り体育館2階に戻ろうとすると。
――――また、だ。
下に向かってくる日向君と、今度は瞳が合った。
視線を逸らすのを忘れて、ジッとその瞳を見つめてしまう。
ねえ、日向君。
君の見た世界の片隅に、私は少しでもいられましたか?
『伝えなかったその想いは、どこへ行くの?』
莉奈の言葉が頭を過ぎる。幾度となく過ぎった言葉に、グッと唇をかみ締めた。
二人がすれ違う。思わずスカートをギュッと握り締め立ち止まる。そして、声を出しながら振り返った。
「日向君・・・・・・っ」
止まっていた時が、動きだす。