「「あ」」



と、二人の声が重なった。



「・・・明々後日、卒業だね」

「・・・うん」



莉奈は手を洗い終えると、乱雑に水を払った。2年生の頃とそういうところは何も変わってないな、なんてどうでもいいことがなんだか嬉しくて。




「あっという間だったね」

「そうだね」



鏡を見つめる莉奈。だけど、それは自分を見つめているのではなくて、過去の自分を見つめているようにも見えた。


「美空」

「・・・ん?」

「もう、最後なんだよ」

「う、ん・・・?」

「気持ちは伝えないの?あの人に」

「・・・」

「伝えるか伝えないかは美空次第だけど、高校生活の中で唯一好きになった人なんだから、後悔しないようにね」



そう言うと莉奈は私の横を通り抜けて、そのまま階段を上っていってしまった。


そうだ。日向君は私のつまらなかった高校生活に光を灯してくれた人。初めて好きになった、人。


だけど臆病な私に告白するなんて勇気・・・どこにもないよ。