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ミーンミンミンミーン、と蝉の大合唱が外から聞こえてくる。
受験生という代名詞を持つ高校3年生は、どうしてこんなにも時が経つのが早いのだろうか。
『いいな、相川。しっかり勉強すること。それから進路希望調査この後ちゃんと書いて出せよ』
三者面談の終わりに言われた担任の言葉が、頭の中で繰り返される。
机の上に置かれたままの再生利用紙。この紙を今日まで、何回見て、書いてきたんだろうか。今までと同じことをそこに書けばいいのに、記入されているのは私の名前だけ。
夏休み1週間前までに提出だったこれを、私は未だに記入せず所持している。そのため少し皺がついていた。
高2の最後の模試で出た私の第1志望校の判定はE判定。受かる確率で言えば、奇跡が起きない限り無いに等しい。
それでもこの間受けた模試では、何とかD判定まであげることができた。それでも合格できる確率はあまり無い。
かと言って推薦での入学も、例年の倍率を見ると厳しそうだ。