初めての恋だった。


右も左も分からなくて、ただただ日向君の姿が見れれば幸せだったあの頃。


いつしか声を聞くだけじゃ満足できなくて、瞳が合うだけじゃ満足できなくて。話すだけじゃ満足できなくて。



「ぅ、」


だけどその欲求が満たされることは、もう無い。


日向君の隣には、琴美ちゃんがいる。


屈託の無い太陽みたいな笑顔も、優しさも、全部全部、あの子のもの。



もう二度と、私に向けられることは無い。





小さく嗚咽を漏らしながら泣きだした私の背中を、葉月君は静かに摩ってくれた。


葉月君だって、辛いはずなんだ。なのに私はどこまで、彼に迷惑をかけてしまうのだろう。