ハッと気がついた時には遅くて、そこには私なんかより遥かに傷ついた表情をした莉奈が。



「っ」



私は何もいえなくて、急いでその場を後にする。後ろから聞こえた私を呼ぶ声に、振り向くこともせず。



下駄箱に向かう途中にあった灰色のプラスチックのゴミ箱に、持ってきていた日向君にあげる予定だったケーキを箱ごと捨てる。



深く深く、誰にも見つからないように、ゴミの奥に押し込んだ。




「っ、ぅ・・・」





言うつもりなんてなかったのに。


後悔の波が一気に私の心に押し寄せてくる。引いた波が大きければ大きいほど、帰ってくる波もまた、大きかった。