突然呼ばれた名前にビクッと肩をあげながら振り向けば、緑のネット越しに葉月君がいた。
「頼む! 今日保健の先生いないらしいから、来てくんね!?」
◇ ◇ ◇
「軽い打撲だと思うから、安静にしてればすぐ治ると思う。家でもシップは張り替えてね」
右手首に巻かれた白い包帯を見ながら、日向君は二、三回手首を少し回した。
保健室の先生が出張で不在のため、私が手当てしたけどよかったのかな……。
男子体育の担当の先生は「あとでいく」なんて言って、全然来てくれないし。
「ったく。てめーのせいで」
「悪かったって大地! まあ足じゃなくてよかったぜ!」
「足だったらお前殺してた」
なんて物騒な会話が飛び交う中、シップと包帯を元の位置に戻す。
「相川悪かったな!」
「ううん。気にしないで」
「お前が怪我したせいで」
「誰のせいだよ……!」
「俺です、はい」
コントみたいな二人の会話に思わず笑ってしまう。
本当に仲がいいんだなぁ……。
「相川さんって、手当て上手いよね」