「あんま深く考えんなよ。大丈夫だから」
二ヒッと変わらない笑顔で笑った葉月君は、私の髪の毛をくしゃくしゃとボサボサにすると、そのまま教室に戻っていった。
そういえば莉奈は平松君に聞いてくれたのかな。
「あ、莉奈」
ロッカーから戻ってきた莉奈を呼び止める。莉奈は私の席に、手に持っていた英語の教科書を一先ず置いた。
「昨日言った事なんだけど・・・」
「そうその事で美空に言いたいことあったの!」
やや高めのトーンに、やっぱりあの出来事は何かの間違いだったんだ、と期待が高まる。
「日向大地に上げる予定だったやつって、今持ってる?」