瞳に映ったものは、二人が抱きしめあう姿だった。
声が出そうになったのを、紙袋を持っていないほうの手で慌てて抑える。
見間違いなんかじゃない。確かに二人は、抱きしめあってる。その証拠に、こちらに背中を向けている日向君の広いそこには、しっかりと琴美ちゃんの細い腕が巻かれていた。
ゆっくりと、後ずさりをする。
そして、少し離れてから部室に背を向けて、駐輪場に向かって全力で走った。
「っ、はあ・・・っ」
肩を大きく上下させる。走ったせいじゃない、今見たもののせいで心臓は大きく波打っている。
「嘘、だ・・・」