中にいるのは二人だけなのだろうか。

でも、先程の琴美ちゃんの声から中からは物音一つ聞こえない。



「こと、み」



日向君の声が、鼓膜を震わせる。先程とは違う意味で、心臓の音が早くなっていく。


戸惑いと、不安の色で一杯になった私には、冷静に考える思考なんてこの時、持ち合わせていなかった。



「・・・」


駄目だって分かってるのに。

知らなければいいことを、知りたがってしまう私は、弱い。



「・・・っ、」