土手には遮るものが無いため、切り裂くような冷たさの風が、顔に当たる。マフラーと手袋をつけていても、少し入ってくる風に思わず身震いした。
外灯がなく、沈んでしまった太陽の変わりに出てきた月と、自転車の小さなライトだけが行く先を照らしてくれる。
この土手をまっすぐ行き、小さな坂を下る。そして左に曲がればすぐに正門が見える。
一応駐輪場まで行き、すぐ近くに自転車を止めた。電気がチカチカと付いたり消えたりを繰り返している。
残された自転車の台数は以外にも結構あった。どうやら遅くまで結構部活をやっているところが多いみたいだ。
手袋を取り、悴(カジカ)む手でスマホを開くと、葉月君から連絡が来ていた。