ドアを閉めようとしたら、それを阻止する手。 「うわ・・・!」 ドアの隙間から見えた、健人の表情。それは何かを迷っているように見えた。 「・・・・・・あの、さ」 「うん」 「・・・」 ドクンドクン、と心臓の音が早くなっていく。 「・・・、」 「ありがとう・・・っ」 「え・・・う、ん・・・」 キッチンから聞こえたお母さんの声に気がついた健人は、そのまま何も言わずに行ってしまった。