「少しは、気づけよ・・・っ」 「っ、」 ぐにゃり、顔を歪ませた翔也のその表情を、あたしは今まで見たことがなかった。 そんな表情をさせたのは、あたし。 「ご、めん・・・」 本当は分かってるんだ。 翔也が悔しがってることぐらい。 健人のほうにいかないで、自分の傍に居て欲しいと思っていることぐらい。 「あたしは・・・翔也が、一番だから」 翔也が、あたしの気持ちに勘付いてる事ぐらい――――――分かってるんだ。