その直後。閉まっていた扉が開いて、そこから現れたのは日向大地だった。


「大地・・・」



翔也の声を無視して、走りだした日向大地。しかしそれは、阻止されてしまった。



葉山琴美という、マネージャーで明らかに日向大地に好意をよせている女の声によって。




結局日向大地は、美空を追いかけることはなかった。



再び、廊下には二人だけの嫌な空間になる。重い沈黙の中、掴まれた右腕は未だに離される事はない。



「・・・て」

「え?」

「どうして、行かせてくれないの!?」